前回の続きとして、保護者が日常でできるサポートの工夫に焦点を当てたいと思います。
1. 「机に座るだけ」を認める
大人にとってのダイエットや運動習慣と同じで、できない日があってもOKです。
「机に座る」「ノートを開く」だけでも十分意味があります。
この小さな行動を認めることが、子どもの「また始めよう」という気持ちにつながります。
2. 声かけの工夫
昨日ご紹介したように、保護者の一言が子どもの心に大きな影響を与えます。
「今日は座れただけでもすごいよ」
「できない日があっても、また始めれば大丈夫」
「続いていること自体が立派だね」
こうした言葉は、子どもの自己効力感(“自分はできる”という感覚)を育て、行動を続けやすくします(Bandura, 1997)。
3. 完璧主義ではなく「戻れる力」を大切に
習慣づくりは「毎日完璧にやる」ことではなく、“戻ってこられること”に価値があります。
研究でも、新しい習慣が定着するまで平均66日かかる一方、1日2日抜けても習慣形成には大きな影響がないことが示されています(Lally et al., 2010)。
まとめ
子どもが学ぶべきは、資格や合格よりも 「できない日があっても、また始められる力」 です。
保護者のあたたかい声かけと柔らかな視点が、その力を支えていきます。
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参考文献
Wood, W., & Runger, D. (2016). Psychology of habit. Annual Review of Psychology, 67, 289–314.
Bandura, A. (1997). Self-efficacy: The exercise of control. Freeman.
Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009.