「資格よりも大事なもの ― 続ける力が育つ理由」
子どもに資格を取らせると聞くと、
「合格証のために無理させるのでは?」と心配になる方もいます。
でも、本当に大切なのは 合否そのものではなく、その過程で育つ“実行習慣” です。
1. 実行習慣とは?
「やる気があるからやる」のではなく、
「やるのが当たり前になる」こと。
たとえば歯磨きや手洗いのように、意識しなくても自然にできる行動のことを指します。
2. なぜ資格勉強で身につくのか?
試験に向けて、毎日少しずつ勉強する必要があります。
その繰り返しが「習慣のループ(きっかけ→行動→報酬)」を作り、意志ではなく仕組みで続くようになります(Wood & Runger, 2016)。
さらに「昨日もできた」「今日もできた」という積み重ねは、子どもの中に“続けられる自分”という感覚を育てます(Bandura, 1997)。
3. 実行習慣が身につくと具体的にどうなる?
1. 行動が自動化される
歯磨きと同じように「机に座って問題集を開く」が自然にできる。
→ 意志の力に頼らず、習慣として定着する。
2. 小さな積み重ねを当たり前にできる
毎日10分でも続けることで「少しずつでも成果が出る」と実感できる。
→ これが「続ける力」の基礎。
3. 中断しても再開できる
一度ペースが崩れても「やめた」ではなく「またやればいい」と立て直せる。
→ 完璧主義ではなく、継続重視のマインドが育つ。
4. 保護者ができるサポート
小さな習慣から始める(毎日10分など)
結果ではなく“続いたこと”をほめる
中断しても責めずに再開を応援する
まとめ
資格はゴールではなく通過点。
その過程で育つ「実行習慣」こそが、将来の勉強や仕事、そして人生を支える力になります。
つまり、
“やる気”に頼らず、自分を自然に動かせる力がつくこと
これこそが、子どもにとって一番の財産です。
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参考文献
Wood, W., & Runger, D. (2016). Psychology of habit. Annual Review of Psychology, 67, 289–314.
Bandura, A. (1997). Self-efficacy: The exercise of control. Freeman.