大学入試センターが、2025年からの大学入学共通テストで出題する教科・科目を発表しました。教科「情報」を新設し、現行の6教科30科目を7教科・21科目に再編するという内容です。「歴史総合」「地理総合」「公共」「情報」は初めての出題となるため、サンプル問題もWEB上で公開されました。22年度から新しくなる高校の学習指導要領に基づく内容で、今年1月に初めて実施された共通テストの各教科と同様に、複数の資料や会話文などを読ませたうえで解答させるものが目立ちます。
新教科の「情報」は、プログラミングを学ぶ「情報Ⅰ」が出題範囲です。「情報Ⅰ」では、情報社会で生きるために必要な力として、
(1)情報社会の問題解決
(2)コミュニケーションと情報デザイン
(3)コンピュータとプログラミング
(4)情報通信ネットワークとデータの活用
の4領域が学習指導要領で掲げられています。東日本大震災から10年の通信インフラの変遷や、散布図などを用いたサッカーチームのデータ分析など、高校生に身近なテーマも取り上げられました。
2022年度からの新しい学習指導要領ではすでに「情報Ⅰ」は必修化されることが決まっていたため、情報が入試に導入されること自体はある程度想定されていました。ただ、情報という内容を大学入試に取り入れるのであれば、公民や数学の中に入れてしまう可能性もあったのです。
しかし、今回の大学入学共通テストの見直し案では、「情報」をひとつの教科として扱い「7教科体制」にしていくという大規模な変更になります。
2020年からは小学校、2021年からは中学校、2022年からは高等学校でプログラミング教育の必修化、強化が行われることが決定し、こどもたちは12年間にわたってプログラミングに触れる時代となるわけですから、国としていかに「情報」を重要視しているかということが伺えますよね。
現状はマークシート方式となる見通しですが、パソコンで受験するCBT方式の導入も検討されていますので、そうなればタイピングスキルも重要になってきます。当校の生徒さんのなかにも、入会以前からローマ字を覚えていて文字入力もできるという子は何名かいましたが、全員が右手の人差し指ばかり使っていました……。これでは、キーボード上であちこち指を移動させるのに時間がかかりますし、キーボードを見ながらでしか入力できないため、プログラミングと併せて、正しい指の位置から指導しています。
学校でそうした指導をしてもらえれば良いのですが、文部科学省によると、全国の公立高校で情報を担当する教員は約5000人いるものの、うち約1200人は情報の教員免許を持っておらず、他教科との兼任も多いそうです。学校間のばらつきをなくすためにも、専任教員を積極的に採用していただきたいものですね。