最近また、非認知能力が話題になっていたので、
過去に書いた記事を再度ご紹介します。
私は学生時代に、発達臨床心理学を勉強していました。
特に幼少期の発達に関する研究が専攻です。
学生時代に勉強していた研究の中で、ぜひみなさんにお伝えしたい!
と思った研究があったので、今回はそれをご紹介します。
どういう研究かというと、
「幼少期の学習が、その後の人生に大きな影響を与え、
知識や学力ではなく非認知的能力を身に付けることが重要である」と明らかにした
ジェームズ・J・ヘックマン教授の研究です。
簡単に研究の内容を説明すると…
経済的に余裕がなく幼児教育を受けることができない
貧困世帯の3~4歳の子どもたちを
プリスクールに2年間通うグループと通わないグループにわけ 、
その後の人生にどんな変化が起こるのか追跡調査をしました。
結果は、40歳の時点で明らかな違いが現れました。
プリスクールに通ったグループは、通わなかったグループに比べて、
収入が多い、持ち家率が高い、学歴が高いなどの差が見られたのです。
もしかすると、多くの方が、この結果の理由を
「教育を受けてIQが伸びたからではないか?」と考えてしまうかもしれません。
しかし、子どもたちのIQを調べると、プリスクールに通っている間は急激に伸びていますが、
9歳ごろになるとIQの差はほとんどなくなります。
さらに、この研究では、子ども主体の遊びを中心とした
非認知的能力に重点を置いた教育方法が取られていました。
非認知的能力がどんな能力かというと、
IQのような知識や学力ではなく、
目標に向かって取り組む力や人とうまく関わる力、
感情のコントロールをする力といった、社会の中で生きていくのに必要な力のことです。
ヘックマンはこの結果の考察で、
プリスクールに通って認知的な能力を伸ばしたからではなく、
認知的な能力以外(非認知能力)を身につけたことが大きな要因ではないかと考え、
幼少期の教育や環境がその後の人生に大きな影響を与え、
また、IQに代表される認知能力だけでなく、
忍耐力、協調性、計画力といった非認知能力も重要であることを明らかにしました。
学生時代の私にとって、40年も追跡調査したことが単純にすごいなと思い、
記憶の中でかなり印象に残っている研究でした。
最近、プログラミングについて考えていると、
もしかしたら、プログラミングは、この非認知的能力を培う一つの手段になるのではないかと
気付きました。
なにか作りたいゲームやアニメという目標に対して、
トライ&エラーを繰り返しながら、子ども達自身で考え実行していくプログラミング学習。
なかなか努力だけでは身につかないのが、非認知的能力だと思います。
子どもたちの興味喚起、周囲の環境整備、大人たちの声掛け…
もしかしたら、プログラミング教室が非認知的能力を伸ばしていける一つの場所に
なるのではないか…
以上、 新たな可能性に気づいた教室長の小話でした。
この研究気になるという方は、翻訳本も出ているので